この度、2021 年 3 月に、数多くの優れた性質と加工性を持ちかって“夢の新金属”と称されたバルク金属ガラス(BMG)の産業化を通して持続発展型社会に貢献することを目指して、株式会社リキッドメタルジャパン“Liquidmetal Technologies Japan Inc.”(本社、東京八重洲)を創立し、10 月から本格的に営業を開始致しましたので、ここにご挨拶を申し上げます。
今日広範な分野で使用されているBMG の発展は 1990 年に世界で初めて日本で金型鋳造法によりBMG が作製されたことが端緒となり、さらに 1990―1992 年に、今日産業化され、”第一世代 BMG “と称されているジルコニューム(Zr)系 BMG の成分組成(Zr-Al-Ni-Cuを基本としたもの)が見出されました。
次いで、1993 年に米国でベリリューム( Be)入りの Zr 系 BMG(第二世代 BMG)が報告されました。BMG の世界初の応用は、1996 年に日本のダンロップ株式会社で第一世代合金組成を用いてゴルフクラブとして実現されました。それ以来、Zr 系 BMG の広範な分野での産業化を目指した開発が日本、米国で行われました。
日本の場合、1990 年中頃から 2010 年頃まで東北大井上明久教授(現当社取締役会長)が中心となり産官学が一体となって産業化を目指した幾つかのプロジェクトが実施され、一部の BMG 部品が実用化されました。しかし残念ながら、コスト的に見合った大量製造技術の開発には至らず、またBMG の優れた特徴を生かした大量使用に相応しい新産業分野を日本では創出出来ませんでした。
そのような状況下において、2011 年に中国から第一世代 BMG 組成特許の譲渡要請があり、この頃から中国でも BMG の産業化開発が開始された状況となりました。その後、2015 年頃に中国で、第一世代 BMG 合金組成にリサイクルを可能とするために微量の希土類金属を添加した合金(第三世代 BMG)を用いて、無人・全自動の金型鋳造式の大量生産技術が開発され、現在年間数千万個の BMG部品が溶湯から直接に最終形状に成形する省エネ、省労力、高生産性プロセスで作り出されています。
当社は、Liquidmetal Global(香港)、Liquidmetal Technologies Inc.(米国)および Liquidmetal Technologies China とグローバルな連携関係にあり、連携会社での大量生産技術の劇的な進展を受けて、日本で 30 年以上に亘って蓄積されてきた BMG の知見とのハイブリッド効果により、更に広範囲な分野での BMG の産業化を図り、社会に役立てることを理念としています。
今年 12 月 8 日(水)~10 日(金)まで幕張メッセにて開催されるメタルジャパン展に出展する運びとなりました。同展示会では、当社グループの国際連携の下、製造した BMG の実用部品約 100 点を展示すると共に、第一世代ならびに第三世代の Zr 系 BMG の外に、日本で初めて創製された軟磁性鉄(Fe)系 BMG(1995 年)および非磁性・高強度・高硬度・高耐食 Fe 系 BMG(2004 年)を含め広範な BMG 合金の産業化を目指す当社の取り組みをご紹介致します。是非、本展示会場にご来場頂き、今後、BMG 合金の産業化を更に発展させる共同製品開発のご相談の機会を賜りますことをお願い申し上げます。
https://www.metal-japan.jp/ja-jp/exhibit/exhibiting.html
株式会社リキッドメタルジャパン取締役会長 井上 明久
代表取締役 梶原 隆司